6月21日は国立文楽劇場へ、
本年度の文楽若手会に伺いました。

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この会は、ご案内の事情で、昨年に引き続き
今年も、いったん中止となっていましたが
日程変更&1日だけの上演が決定し、2年ぶりの開催となりました。

わたくしにとっては2回目の若手会観劇ですが
今回も、前回同様、行ってよかったです。

今年は特に床の仕上がりがよろしく、
聴き終えたあとに「文楽は大丈夫や」と、ガッツポーズできる、
未来に思いをはせて嬉しくなる、そんな会でした。

感染症の問題が発生して1年半。若手技芸員さんたちの
不安や葛藤、そして焦燥は、わたくしなどの想像を遥かに超えた
厳しいものであったでしょうし、それは今も継続しておりましょう。

お稽古もままならず、舞台を創り上げるのは大変やったと思います。

ですが、そのような経験を、自分なりのやり方で消化し
芸の養分として取り込んでいる、そんなふうにも感じられたことでした。

以下、感想とってだし。
お席4列15番から17列25番にて。

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菅原伝授手習鑑

【床】

◆茶筅酒(お席4列15番)

亘くん
嫁3人の語り分け、なかなか難しゅうございましょうか。
白太夫も少し若く感じました。

ただ、白太夫の(八重の持ってきた三方を手に)
「テ気がついて、忝ない」ここは光っていた。

茶筅酒は、表面的には、ほのぼのした幸せな場面です。

ですが実際は、この時、既に桜丸は到着していて、
白太夫は切腹の覚悟を聞いている。
老父は祝いの日を迎え、楽しいふりをしていますが
内心はそれどころやないでしょう。

なんとか命を救いたい、けれど
自分の料簡で、どうこうできるものでもない。

そんな白太夫の苦悩、葛藤が、
この段で、この一瞬にだけ、顔に出る。

わたくしにとって、茶筅酒一番の聴きどころです。
それがとてもよろしくて、嬉しゅうございました。


◆喧嘩

中座して観劇叶わず。ごめんなさい。


◆訴訟(以降、お席17列25番)

小住ン
腹も太い、力も強い、声もいい。
語り分け、そして、如何に情を表現していくかは
これからのことでございましょう。

友之助さん
ちょっとしたプロモーションの舞台でも
一撥ごとの意味を考えて弾きはる人です。
今回は、それがちゃんと音になり、伝わって来たように思います。


◆桜丸切腹

芳穂さん、清馗さん
お二人とも、とてもよろしゅうございました。

「泣きやんな」からの、ためてためてためての「アイ」
桜丸の切腹、白太夫の「なまいだ」そして駆け寄る梅王。
素敵でした。

芳穂さんは、昨年8月の寺子屋で、大きな蕾が開き始めた、
そんな気がします。
これから時間をかけて、花は咲いて行くのでしょうが
その盛りがどうなるのか、そして、枯れたときの味わいが
どれほどのものになるのか、楽しみでなりません。

【手摺】

時代物の大作の三段目です。
やはりこの段は難しいのでしょうね。
ご精進下さいますように。

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生写朝顔話

【床】

◆宿屋

希さん、よろしゅうございました。

腹も太く、お声も美しく
それぞれに個性の違う4人の登場人物が
丁寧に語り分けられていた。
次は薬売りですね。
勝平さんとのお浄瑠璃、楽しみです。


◆大井川

清公さん
しっかりご自分のお三味線を弾かれていた。GJ。


【手摺】

玉翔くん、駒沢次郎左衛門
シュッとしたイケメンで美しゅうございました。

文哉さん、戎屋徳右衛門
よろしゅうございました。

人の良い宿屋の亭主、そして、
朝顔を守るために命を落とした実の娘、浅香とともに
忠義を貫き腹を切る父親。

難しいお役どころやったと思いますが
よく遣われていた。

文哉さんは、2年前の弥左衛門も良かったですし
先日の鑑賞教室でも、弁慶を大きく遣われていた。
これからが楽しみです。

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万才・鷺娘

【床】

太夫は安心して聴ける布陣でした。

お三味線は、燕二郎くんがしっかり芯を務めてはりました。
この方は腹が座っているというか、ブレへんというか
「何があっても自分の三味線を弾く」という感じがいい。
清允くん、清方くんもよかったです。

【手摺】

景事は難しいですね。
ご精進下さいますように。


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東京の若手会も千穐楽となり、いよいよ7月16日からは
夏休み文楽特別公演が始まります。

どうか無事に初日が迎えられますように。

技芸員の皆様、関係者の皆様、そして観客の皆様の
ご健勝を祈念しております。
必ずお元気でいて下さいますように。