11月22日は文楽劇場へ
綿秋文楽公演第一部 源平布引滝(三段目)へ伺いました。
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源平布引滝は「源平盛衰記」や「平家物語」を下敷きに
手孕説話、木曽義仲の誕生、手塚太郎の幼少期、
篠原の戦いにおける逸話などなどを盛り込んで大胆な脚色を施し、
平家全盛期の源氏の苦悩、そして、それに終止符を打つべく
義仲チームが平家滅亡に向けて出陣する様を描き出す
全5段のダイナミックな時代物です。

鑑賞ガイドとしては、今回の公演プログラムとあわせて
第147回文楽公演(平成29年7・8月)公演プログラムの解説が
作品への理解を深める良い手引になりましょうか。
※過去の公演プログラムは国立文楽劇場の図書室で
 閲覧できます(※要予約)

先代吉田玉男師匠は藝談集「文楽藝話」の中で、
実盛や瀬尾の遣いに関して詳しくお話されています。
人形の遣いを知ることは、聴きどころ見どころを知る事にも
繋がるかと思いますので、ご興味のある方はぜひご一読下さいませ。
吉田玉男 文楽藝話(聞き手:森西真弓)

国立国会図書館デジタルコレクションでは全頁絵入りの
源平布引滝5巻(寛政年間発行)がデジタルデータで閲覧可能です。

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国立国会図書館デジタルコレクション 源平布引滝:5巻
著者:春英 画 出版者:村田屋次郎兵衛 出版年:寛政年間

お席2列16番にて

【床】

◆矢橋の段

亘さん、錦吾さん、3年ぶりの矢橋です。
小まんと追手との殺陣、
力強く語り、弾かれていました。

亘さん、昨年6月の若手会以来、
舞台を重ねるごとに良くなられていると感じます。

御簾内ではございましたが
床でお二人のお姿を拝見したい
そう思えるお浄瑠璃でございました。
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◆竹生島遊覧の段

碩君、3年前の夏のデビューと同じ配役。
しっかり語れてた。

咲寿君、ちょっと音が外れていたように聴こえました。
ご精進下さいますように。

團吾さん、
よくぞこの床をまとめて下さいました。
お疲れ様でしたm(__)m
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◆九郎助住家の段

(中)糸つむぎ

ダイナミックな長尺段の大切な導入部です。
九郎助女房と仁惣太の滑稽なやり取りが楽しい場面でもあります。
小住ン、寛太郎君、よかったです。

(次)瀬尾詮議

錦糸さんがお三味線を弾いた瞬間、
全身から力が抜けて行くような気がしました。
力むことなく、ゆったりとお三味線の音色に
心と身体を預けられることの、なんと幸せなことか。

靖さんも、よろしゅうございましたね。
一気に増えた登場人物の語り分け、
堅物で居丈高な老将、瀬尾のびっくり「これ産んだか」
腹に源氏への忠誠を抱えている実盛
じっくり聴かせていただきました。
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(前)実盛物語

清介さんのお三味線、素敵でした。
この重厚な場面を、お三味線の音色と人形の動きで
堪能させていただきました。

(後)綿繰馬

綿秋公演で一番楽しみにしていた段です。
錣さん、宗助さん、素晴らしかった。

瀬尾のモドリ、手塚太郎の誕生、実盛の騎馬
そして篠原への約束と、時代物らしいクレイジーさが
たっぷり詰まったダイナミックなこの場面を、
迫力あふれるお浄瑠璃で聴かせていただきました。

最後の締めくくりがこのお二人で良かったと
しみじみ実感させられたことでした。
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【手摺】

勘彌さん小まん、カッコよかったです。
腕を繋いだ後の一瞬は「死骸」が動いてるんやと理解出来る
生気の無い不気味さ。
というか、あそこは勘彌さん遣うてはったんかな。
覚えてない(;´∀`) 
ただホラーな感じだけが記憶に残っています。

文司さん九郎助はハマり役ですね。
百姓やのに勇ましく、洒落っ気のあるお爺さん
とてもチャーミングでございました。

勘次郎くん倅太郎吉、初役でございましょうか。
しっかり遣えていた。
わんぱくで可愛かったです。

九郎助夫婦と小まん太郎吉母子は血の繋がりはないはずやのに
「この爺婆にしてこの娘、この孫あり」と思えたのは、
楽しいことでした。

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玉也さん瀬尾 素敵でした。
主家に忠実で堅物な老将の居丈高な振る舞い
「これ産んだか」のびっくり
小まんの亡骸を足蹴にする傍若無人
太郎吉に刺されてからのクドキ
そして最後に自らの首を掻っ切る

心の振り幅、身体の動きの大きい、
大舅の首を持つこの老将を
とても豪快に遣われていた。
お見事でした。

左と足はどなたがお遣いでしたか。
左は綺麗に流れて、足はしっかり動いていました。

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玉男さん実盛、キラッキラでした(人´∀`).☆.。.:*・゚
どっしりした存在感とともに、光り輝いていはった。

ただ足が、動いたらアカンところで動いていた気がします。
ここだけは残念でした。

馬に乗ってから後は玉男さん実盛に釘付け。

エンディングは、実盛の悲劇的な最期との対比、
壮年もいずれは老い、幼い者は成長する、
生者必滅の理などなど、多くのことを表現した
素晴らしい演出やと思うのですが

そんなもの全部忘れて、大きく美しく光り輝く実盛に
ただウットリと見惚れておりました。

玉男さん、この度の紫綬褒章受賞、誠におめでとうございます。
これからのさらなるご活躍をお祈りしております。

その他の登場人物も、皆さん、よろしゅうございました。

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初春公演以来、10ヶ月ぶりの文楽公演でしたが
無事に千穐楽を迎えられて本当に良かったです。
公演成功のために、万全の対策をして下さった
国立文楽劇場関係者の皆様、有難うございました。

早いもので、あと1週間もせんうちに
国立劇場で12月文楽公演が始まります。
どうか無事に初日の幕が開き、
そして何事もなく千穐楽を迎えられますように。
新年には、いつもどおりの日常が戻り
晴れやかな空気に包まれて
初春公演が開催されますように。

技芸員の皆様、関係者の皆様、そして観客の皆様の
ご健勝を祈念しております。
必ずお元気でいて下さいますように。