7月27日は文楽劇場へ
夏休み文楽特別公演第二部 生写朝顔話 
明石浦船別れ(二段目)/四段目へ伺いました。
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生写朝顔話は、周防の大名、大内家のお家騒動、
安芸の大名、岸戸家の悪政による一揆などの政治的な事件を背景に、
両家にゆかりのある2人の男女のすれ違いの恋を
ロードムービー的に描き出した時代物です。

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芝居を楽しむためのガイドとしては、
物語の全体像を、写真や地図も入れて、わかりやすく解説した
本公演の公演プログラムが、役立つと思います。

収録されている千歳さんのインタビューも、
宿屋の聴きどころ見どころを気づかせてくれる
興味深い内容です。
 
また、第23回文楽素浄瑠璃の会、並びに、第139回文楽公演の
公演プログラム及び床本も、良い手引となっています。

さらに理解を深めたい方は、こちらの論文をご一読下さいませ。

◆近世後期における淡路人形座と大坂浄瑠璃界 : 『生写朝顔話』を例として
著者:大阪市立大学 久堀裕朗先生

物語の成立過程や、影響を受けたと思われる先行作品との対比、
当時の淡路人形座と大坂浄瑠璃界の関係などがよくわかりますし、
付録として掲載されている『増補生写朝陣話』梗概は、
物語の全体像を理解する助けとなりましょう。

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お席2列14番にて

【床】

◆明石浦船別れ

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◆薬売り

希さん、勝平さん、楽しゅうございましたね。

希さん少しスロースタートに感じましたが、
「密です」との相乗効果で客席を盛り上げていた。
勝平さんのお三味線はいつも頼もしい。

◆浜松小屋

ごめんなさい。寝てしもた(ノ∀`)

清介さんのお三味線に「おお!」と、なった後
なぜか心地よくうつらうつらと。
後半でやっと目が覚めたことでした。

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◆嶋田宿笑い薬

【中】
南都さん、清馗さん、たのしゅうございました。

南都さん、ハマってた。

女中と手代のちょけたシモネタから
岩代と祐仙の、悪巧みの相談にも関わらず、なぜか滑稽に感じる
喜劇的な雰囲気を楽しませていただきました。

【奥】

咲さま、燕三さん、シュールな一段、とてもよろしゅうございました。

以前この場面を聴いた時は(お浄瑠璃は別の方)、
自分が笑い薬を盛られたように、お腹がよじれるかと思うほど
笑い転げたと記憶しています。

それはとても楽しい経験でしたが、現在の状況では(感染予防の観点から)
たとえ観客がマスクをしていても、笑わせ続けるのは難しい。

どないするんかなと思うておりましたが、
観客の視点を阿曾次郎や岩代、徳右衛門側につけて
「意味不明に笑い続ける男を見る」という
奇妙な感覚へと引きずり込みはった。

好みが分かれる演出かもしれませんが
わたくしには「どストライク」で、とても面白かったです。

お見事でございました。

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◆宿屋

千歳さん、富助さん、素敵でした。
燕二郎くんの琴も、よろしゅうございましたね。

プログラムに収録されている千歳さんのインタビューを読みながら
改めて、あの冒頭の阿曾次郎はよかったなとしみじみ。

ところで、今回のリーフレットの写真や、
様々な浮世絵に描かれた、このシーンの朝顔の表情は
どことなく嬉しそうというか、楽しそうというか
哀れな立場にも関わらず、幸せそうに感じられます。

朝顔の胸に満ちた阿曾二郎への思いがそうさせてるんかな、
と、思うたりもするんですが、復習で気づいたことゆえ
答え合わせは叶わず。

もし、そうであれば、この溢れんほどの想いが
雨で嵩の増した大井川と重なり、水は溢れず持ちこたえても
朝顔の想いの堰は切れるという、次の場面に繋がって行くのでしょうね。

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◆大井川

大好きな段です。
錦糸さん、靖さん、宿屋からお浄瑠璃がちゃんと繋がっていて
とてもよかった。

朝顔の阿曾次郎への想いが切羽詰まって溢れる様、
徳右衛門のクドキ、イケメン関助、みんな素敵でした。


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【手摺】

まず最初に、勘十郎さん、この度の人間国宝認定おめでとうございます。

今回は勘十郎さん朝顔、和生さん阿曾次郎と、
国宝2人が主役を遣うという、贅沢な配役でございました。

この演目、人形遣いの皆さん、とても素敵でした。
どのお役も、品があって、美しゅうて、安心して見ていられた。

ひとつ、わたくしの後悔は、浜松小屋で寝てしもて
浅香すっとぼけの身拵え、深雪のクドキ、名乗りあった2人の再会
などなど、大好きなシーンを見逃してしもたことです。
ただ、吉兵衛登場の前あたりで目が覚めて、その後の立ち回りが
見られたのは幸いでした。

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簑二郎さん祐仙は、とてもよろしゅうございましたね。

この男は、悪いことを企んでる、してるくせに
することなすこと滑稽で、何故か憎めん、チャーミングな登場人物です。

一生懸命悪さをするのに、首尾よくコトが進まんだけでなく
惚れ薬から偽阿曾二郎、笑い薬に至るまで、いつも人に騙され、笑われ、
最後は自分も無理やり笑わされてしまうという、不憫な男でもあります。

お金があっても、どんくさく、ままならん人生を送る
哀れさと滑稽さが一体となった、その名のついた首を持つ、
まさしく「祐仙」の魅力というんかな、
それを、たっぷり楽しませていただきました。

左と足はどなたがお遣いでしたか。
綺麗に流れていました。

玉輝さん岩代は、悪役やのにカッコよかったです。

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勘壽さん徳右衛門、美しゅうございました。
薬売りから大井川まで、大きな動き無しに、
静かで重厚な存在感を醸し出していた。
この遣いがあったからこそ、クライマックスを
違和感無く受け止められたのやと思います。
素敵でした。

簑紫郎くん吉兵衛、玉勢さん奴関助、
2人とも、それぞれ異なる、色気のあるイケメンで良かったです。

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文楽の若手技芸員が中心となって企画した
初めてのクラウドファンディングプロジェクト
「文楽夢想」も無事に成功し、何よりでした。

8月21日には素浄瑠璃の会が開催されます。
そして9月には東京公演、10月末からは綿秋公演が始まります。

どうか無事に初日を迎えられますように。

技芸員の皆様、関係者の皆様、そして観客の皆様の
ご健勝を祈念しております。
必ずお元気でいて下さいますように。