4月9日は文楽劇場へ
4月文楽公演第一部 恋女房染分手綱へ伺いました。

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恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)は
近松門左衛門作、全3巻の世話物「丹波与作待夜の小室節」を
吉田冠子、三好松洛が、全13段の建て浄瑠璃として増補改作した
時代世話物です。

今回上演されている「道中双六」と「重の井子別れ」は
その十段目にあたり、原作の上の巻の内容が、
ほとんどそのまま、使われています。

この場面に至る経緯は、芝居の中で、重の井により語られますので、
事前に情報が必要な場合は床本をご一読ください。

恋女房染分手綱 床本
※ようこそ文楽へ-鶴澤八介メモリアル 「文楽」ホームページへリンク

鑑賞ガイドとしては、本公演のプログラムとあわせて、
第23回文楽素浄瑠璃の会(R2/8/22) 公演プログラムが
この段を理解する良い手引となりましょう。

七世竹本住太夫師匠「文楽のこころを語る」に収録されている
「沓掛村」の藝談なども、興味深い内容で参考になるかと思います。

また、近松の原作はもちろん、ダイジェストや識者のコラムなど
様々な情報がございますので、それらを通して、自分なりの聴きどころ、
見どころを発見するのも楽しいかと。

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◆お席2列19番にて

【床】

■道中双六

わたくしにとって初めての浄瑠璃、そして文楽でしたが
思っていた以上にリズミカルで、勢いがあって、
聴いていて、とても楽しゅうございました。

勝平さんのリードで始まる双六は
睦さんサイドで咲寿くんがほのぼの伴走膝栗毛。

とはならず、

咲寿くん、えらい勢いで睦さんを煽り出し、
若い2人がヒートアップ。

勝平さん、清公さんを従え
道から反れんようコントロールしつつも
遠慮なしの強い撥。

太夫、三味線 火花を散らすデッドヒートに
聴いているほうも盛り上がり
「ええぞ、行け行け!」と心の中で煽っているうちに

一番勝ちの勝つ色の花のお江戸に付き給ふ。

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■重の井子別れ

咲様、燕三さん 泣いた。
馬子唄 たまりませんでした。

透き通った浄瑠璃が、劇場を悲しみで包み込む。
その中で、自身の心を開放し、思う存分涙する。

余韻は家に帰ってからも続き
床本を読み返しては思い出し、
うるうるしておりました。

坂は照る/\、鈴鹿は曇る。
土山間の間の、土山、雨が、降る
降る雨よりも親子の涙なかに、しぐるゝ、雨やどり

素晴らしかった。
有難うございました。

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【手摺】

和夫さん 重の井
絶品でございました。
なんというか、格が違う。

ラストシーン、あれはおそらく、重の井、三吉の、
ほんまの気持ちを見せたのやと思いますが
それが現実には叶わんことやと分かるぶん余計に悲しく
ぽろぽろと泣いておりました。

玉彦くん 三吉
でかしゃった。
タバコをのみ大人びたふうではあるけど
座敷で1人待つ時のやっぱり子供と思わせる無邪気な仕草。
重の井にすがりつき精一杯に訴えるいじらしさ。

受け入れられんとわかったあと、
手ぬぐいで頬被りからのスローモーション、
柱にもたれ遠くを見る姿は
胸を締め付けられるようでした。

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文司さん 本田弥左衛門
「数献の盃」で、足もとヨロヨロ
猩々緋の道中羽織白いところは髪ばかりで
りりしげに話す中身はちょっとエロ。
偉い家老のはずやのに、ちょけた愛嬌のある老人で
とてもよろしゅうございました。

紋臣さん 腰元若菜
お福の首と遣いが合うて茶目っ気たっぷり
かいらしゅうございました。

玉峻くん調姫
緊張したはったなあ(;´∀`) 

勘介くん、玉路くん 踊り子
2人とも綺麗に踊れていました。
勘介くんの遣いは、扇を持つ腕がすっと伸びて美しかった。

紋吉くん、玉翔くん 宰領
三吉にゲンコツなんかして、
ほんま憎らしゅうございました(褒め言葉です)

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この日の恋女房染分手綱は、床も手摺も、
完成度の高い、素晴らしい文楽やったと思います。

後半、人形遣いの配役替えがございますが、
さらに良い文楽になりますように。


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いよいよ明日13日で前半が終了し
15日からは後半がスタートします。

どうか無事、何事もなく、千穐楽が迎えられますように。

技芸員の皆様、関係者の皆様、そして観客の皆様の
ご健勝を祈念しております。
必ずお元気でいて下さいますように。