カテゴリ:イラスト・錦絵・双六など > 奥奉公出世雙六

国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている
奥奉公出世雙六です。
とても楽しい双六なので、これを1つずつ分解してみたいと思います。
双六に書かれている台詞は双葉社様の翻刻を使わせて頂きました。
意訳は私がしているので、おかしな箇所も多いかと思いますが何卒ご容赦を。

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奥奉公出世双六
著者:国貞改二代豊国 出版者:上州屋重蔵 
国立国会図書館デジタルコレクション

御めミえ(お目見え) ーおめみえー
御台所への目通しが許された上級の女中。
omemie



賽の目
二:おなかゐ
四:おちち
六:おはした

しほくミの御手
ミせハモウおきゝ
あきなされたから
水くミがきゝ
たいとおほせ
られるマア
とんだ
おひめ
さまの
御このミだ

【意訳】
「汐汲み(曲の題名)」は聞き飽きたから「水くみ(※こんな題名の歌はない)」が聞きたいとおっしゃるのよ。まあ、とんだお姫様のお好みですこと。


針妙 ーしんめう(しんみょう)ー
奥で裁縫に従事する女中。
shinmyou





賽の目
一:おどり
三:おいとま
六:おぐしあげ

モウだんなさまが
おさがりだらう
ドレしごとをやめて
おちやを
わかさうか

【意訳】
そろそろ、ご主人様が、お戻りになられる頃ね。さて、仕事は止めて、お茶を沸かしましょう。

御はした ー御端下おはしたー
風呂や台所の水くみ、掃除などの雑用係。
御目見え以下の中でも、一番下の女中。
ohashita






賽の目
三:おすゑ
四:おなかゐ
六:おやとひ

此はるのやうにおきやく
さまがあつてハ
ろく/\御ぜんも
あがることハ
できません
そのかハりにハ
いまにおやく
がへが
ござり
ませう

【意訳】
この春のように、お客様が(次から次に)いらっしゃっては、お食事を召し上がる事もままなりませんね。そのかわり、今にお役替え(ご出世)がございましょう。


御暇 
ーおいとまー
リストラ/クビ。
oitoma





賽の目
一:おめミえ
二:志んめう(針妙)
六:おちち

はゝさんの
まへハどの
やうにも
いハうが
とゝさんに
きこへてハ
どの
やうな
めに
あハ
されやうか
しれぬゆへ
これからおばさんの所へいつて
たのミませう

【意訳】
お母様にはどのようなことでも(お暇の理由は)お話出来るけど、お父様の耳に入っては(お怒りになって)どんな目にあわされるかわからないから、これから叔母上様の所へ行って(お父上様に怒られないように、お口添えを)お願いしましょう。

御里はじめ ーおさとはじめー
furidashi
國貞改二代豊国画 万𠅘應賀作

賽の目
一:おめミえ  二:おやとひ 三:お礼上がり
四:おはした  五:しんめう 六:おすゑ



国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている
奥奉公出世雙六です。
とても楽しい双六なので、これを1つずつ分解してみたいと思います。
双六に書かれている台詞は双葉社様の翻刻を使わせて頂きました。
意訳は私がしているので、おかしな箇所も多いかと思いますが何卒ご容赦を。

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奥奉公出世双六
著者:国貞改二代豊国 出版者:上州屋重蔵 
国立国会図書館デジタルコレクション

御礼上り ーおれいあがりー
奥を退職した女中が改めて挨拶にやってくること(やと思う)。
oreiagari


賽の目
一:おぐしあげ
二:志んめう(針妙)
三:おさんのま

イエモウとうから
ごきげんうかゞひに
あがりませうと
ぞんじ
まし たれども
このやうな
わんぱくが
できまして
つひ/\
ゑんにん(延引)
いたしました

【意訳】
いえ、もう、随分前からご機嫌伺いに寄せていただこう思っていたのですが、このような手のかかる元気な子が出来まして、ついつい伸び伸びになってしまいました。


御雇 ーおやとひ(おやとい)ー
何をしていた女中かわかりません(;・∀・)。
双六の位置的に御目見え以下やないかと思います。
oyatohi




賽の目
一:おもり
三:おすゑ
五:おどり

アレすゞがなり升ト
だれが
お出なさい
ませんか
わた
しが
いつ
たら
また
しから
れるで あろう

【意訳】
あら、鈴(呼び鈴)が鳴っていますね。どなたか出て下さいませんか。私が行けば、また叱られますでしょうから。

御末 ーおすゑー
掃除、水くみなど一切の雑用を受け持つ御目見え以下でも一番下の女中。
osue




賽の目
一:おなかゐ
四:志んめう(針妙)
五:おだいさん

コレごらん人形町の
上しうやの
くさぞうしハ
いつでもおも
しろくて
よくわかり升よ

【意訳】
これをご覧なさいな。人形町の上州屋の草双紙はいつでも面白くて(内容が)よく分かる(わかりやすい)わよ。

御仲居 
ーおなかいー
奥の御膳所係。献立一切の煮炊きを担当する。御目見え以下の女中。
onakai




賽の目
三:お三のま
四:おだいさん
六:おもり

ヲヤまたけふも玉子やきに おこんだてが
なほつた
ちやうど
十日に
百丸めしあがつたアアいかな事でも

【意訳】
あら、また今日も卵焼きにお献立が戻ったわ。10日に渡って百丸を服用されたなんて、何かあったのかしら。
※ちょうど10日は日付か、10日間かわかりません。このセリフの流れから10日間と意訳しました。百丸は昔からある胃腸薬の百草丸のことかと思います。

御代参 ーおだいさんー
御台所の公務である幕府関係者の法事や寺社への参拝等に
代理として文字通り代参する役目の女中。
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賽の目
一:おつぎ
四:ごふくのま
六:おいとま

モウこゝハいゝから
ともにゆくものを
いそいでしたく
させてくりやよ
ちと
まハるところが
あるから

【意訳】
もうここはいいから、共の者(同行者)を急いで支度させてやって頂戴な。少しまわる(立ち寄る)所があるから。

踊 ーをどり(おどり)ー
奥の行事などで披露する芝居等の余興の仕度をする女中
(たぶん。わからん(;・∀・))。
wodori




賽の目
三:お小しゃう
四:おめしつかひ
六:おめみへ

マアこれで
ばんの
道具だても
そろつた
エヽト
そこで
ヲヽ
それ/\
おつぼねさんの
ちやばんを
かんがえなけりや
ならなんだつけ

【意訳】
これでお芝居に必要な道具の仕度も整ったわ。あとは、そうそう、お局様の茶番(滑稽な寸劇や話芸)(の、内容・脚本)を考えなくちゃいけないんだった。




国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている
奥奉公出世雙六です。
とても楽しい双六なので、これを1つずつ分解してみたいと思います。
双六に書かれている台詞は双葉社様の翻刻を使わせて頂きました。
意訳は私がしているので、おかしな箇所も多いかと思いますが何卒ご容赦を。

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奥奉公出世双六
著者:国貞改二代豊国 出版者:上州屋重蔵 
国立国会図書館デジタルコレクション

御守 ーおもりー
※どのような役職かわからない。多分字のまま子の御守りかと(;´∀`)
omori

賽の目
三:ごゆうひつ
五:おちゃのま
六:おはした

アレ/\わかさま
おとゝさまがおかゝ
さまのところへ
いらせられ
ました
から

やく
まいつて
ごきげんを
うかゞひ
ませう

【意訳】
あらあら若君様、御父上様が御母上様の処へいらっしゃいましたよ。早く参じて、ご機嫌を伺いましょう(御父上様にご挨拶いたしましょう)。


御乳 ーおちちー
奥で生まれた若君、姫君に乳を与える女中。御乳持。
ochichi



賽の目
一:おつぎ
五:お礼上り
六:ごふくのま

コレうばや
うばやナ
だまつてい
てはさつき
から
すこしも
ねずに
手まへの
もり
ばかりして
ゐる

【意訳】
これ乳母や。黙っていれば、さっきから、少しも寝ずに、僕のお守りばかりしているじゃないか。

呉服の間 ーごふくのまー
将軍と御台所の着物を仕立てる女中。御目見え以上。
gofukunoma



賽の目
二:ごゆうひつ
五:おもてづかひ
六:おすゑ

どうかして
此おめし
ものをらい
ねんのおなんど
ばらひにいただき
たいものだが
そうむまくゆけば
いいが大かたらい
ねんもくだされ
ものハ
ごゑんにて
たろう

【意訳】
なんとかして、このお召し物を、来年の御納戸払で下賜して頂きたいけれど、たぶん来年も、賜るものは、ご縁なのでしょうね。
※御納戸払(おなんどばらい)
年末に御台所から着物や身の回りのものが女中に下賜されること。

御髪上ケ 
ーおぐしあげー
奥にて髪を結い上げる役目の女中。
ogushiage



賽の目
二:へや子
四:おやとひ
五:おこしゃう

明日御下やしきの御かへりにはすミだ川の
土手をおひろひ
あそばせ
どの
やうにか
花が
よろ
しいと
おしたの
ものが
申ました

【意訳】
明日、下屋敷からお帰りの節は、隅田川の土手を通ってお戻りなさいませ。桜の花が美しく咲いていると、下の者が申しておりました。

御祐筆 ーごゆうひつー
奥の文書係。
goyuuhitsu




賽の目
一:おそば
二:おどり
三:表使

ちよつとでも
御返書を
おしたゝめ
あそば
せバ
よいに
いつでもおだいひつ
おきのどく
さまな事だ

【意訳】
ほんの少しでも、お返事を、したためて差し上げれば良いのに、いつでも私の代筆ばかりなんて、お気の毒なことだわ。

部屋子 ーへやごー
上級の女中により、奥で囲い育てられた(親戚や裕福な町人の)娘。
年頃になると御中臈候補(殿様の側室候補)に推薦された。
heyago




賽の目
一:お三のま
二:お茶のま
五:おはした

なんでもおさがりのないうち
たんとあそんでおかぬといまに
琴をさらへと いハれ 升

【意訳】
奥様がお戻りになられない間に沢山遊んでおかないと。すぐに、お琴の(お稽古の)おさらいをするように言われるわ。





国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている
奥奉公出世雙六です。
とても楽しい双六なので、これを1つずつ分解してみたいと思います。
双六に書かれている台詞は双葉社様の翻刻を使わせて頂きました。
意訳は私がしているので、おかしな箇所も多いかと思いますが何卒ご容赦を。

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奥奉公出世双六
著者:国貞改二代豊国 出版者:上州屋重蔵 
国立国会図書館デジタルコレクション

御三の間 ーおさんのまー
掃除、雑用係(御目見得以下)
osannoma
賽の目
一:おつぎ
三:おめみえ
五:ございさん

サア/\こんどもつてきました 
嶋にハぎょいに 
いるのがございます 
それはミんなさげませう

【意訳】
さあさあ、今後持ってきた物(反物)の中には御衣(貴人の衣類)に使うものがございます。
そこにあるものは皆、下げましょう。
※「嶋」は抱えている畳紙(に包まれた反物)の山やないかと思います。


御召仕 ーおめしつかいー
※どのような役職かわからない(;・∀・)
omeshitsukai


賽の目
一:上り
五:おそば
六:おいとま

さくばんは奥へおとまりになつて
わたくしの身に
とつてはどの
やうに
うれ
しう
ござりましょう
ヲヤもうちつと
ねをさげて
下方
ふうに
ゆつて
ください

【意訳】
昨晩は奥へお泊り下さいました。
私にとって、どれほど嬉しい事でしょう。
あら、もう少し根を下げて、
下方ふうに結って下さいな。

御次 ーおつぎー
御膳や献上品を始めとした様々な物の持ち運び、対面所の掃除、
召人の斡旋などを行う御目見以上の女中。
otsugi


賽の目
一:おそば
二:表づかひ
三:お礼上がり

ヲゝあぶない/\
おまへハこず
とも
はやく
おそばに
おつき
もうしていな
いまじきに
とつていくからさ

【意訳】
あらあら、あぶないわ。
あなたは来なくていいのよ。
早く御側様にいて差し上げなさい。すぐに私も行きますから。

表使 
ーおもてづかひ(おもてづかい)ー
奥の外交官。奥の買物一切を取り仕切り、役人を応接する。御目見え以上。
omoredukahi


賽の目
一:中老
二:おちち
三:へや子

どうもそのやうに
おものいりが
かさんでハ
なりません
ごじせつ
がら
ゆへ
おまへがたも
チトおきを
つけられたら
よからうに

【意訳】
どうも、そのように物入りが嵩んではいけませんな。時節柄でもあり、貴女方も、少し気をつけて下さればよろしかろうに。

御小姓 ーおこしゃう(おこしょう)ー
御台所の小間使い。
okosyou



賽の目
二:おめしつかひ
五:おちゃのま
六:ごゆうひつ

ヲヤまた御前さまハ
あのやうな
おじやうだん
ばつかり
おつ
志や
つて
おなぶり
あそばす

【意訳】
また、御前様は、あんな、ご冗談ばかりおっしゃって、困らせて面白がっていらっしゃるのね。

御茶の間 ーおちゃのまー
御台所の湯茶を支度する女中。御目見得以下。
otyanoma



賽の目
四:ごふくのま
五:おれい上り
六:おやとひ

ヲヤ/\
お志た
くノ
はゝが
あがり
ました
かへ
そん
なら
明日の
当ばん

くりかえて
くださいまし 大かた
この間のゑんだんの事でまいりましたらう

【意訳】
あらあら(おしたくの)母が(城に)来ましたか。それでは、明日の当番と繰り替えて下さいませ。大方、この間の縁談のことで参りましたのでしょう。
※「おしたくの」は「身なりを整えて」か「様々準備を整えて」か「私の」か、わかりませんでした。





国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている
奥奉公出世雙六です。
とても楽しい双六なので、これを1つずつ分解してみたいと思います。
双六に書かれている台詞は双葉社様の翻刻を使わせて頂きました。
意訳は私がしているので、おかしな箇所も多いかと思いますが何卒ご容赦を。

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奥奉公出世双六
著者:国貞改二代豊国 出版者:上州屋重蔵 
国立国会図書館デジタルコレクション

上り ーあがりー
agari


御部屋様 ーおへやさまー
将軍の側室。男子を出産することで御部屋様となる。
danshiti_jima賽の目
三:御小姓
六:上り

われわれなぞの
いやしき身が
このやうに
出世するのも
みな天とうの
おめぐみこれにつけても
おくさまハたいせつに
おもハねバならぬぞかし

【意訳】
私たちのような、
いやしい身分の者が、
(将軍家や公家などの
血筋ではないということ)
この様に出世するのも
全てはお天道様(神様)の
お恵み(思し召し)です。
これにつけても
奥方様(御台所)は
大切にしなければなりませんよ。



中老 ーちゅうろうー
将軍や御台所の身の回りのお世話をする。将軍のお手つきは側室に。
churo

賽の目
一:老女
四:上り
六:おへやさま

人のおちどをいふハ
やすけれど奉公する
身ハあひたがいどうがな
しておいとまに ならぬ
やうに
とり
なし
やうが
あり
さうな
もん
だぞ

【意訳】
人の落ち度を言うのは
容易いけれど
奉公するもの同士
お互いに、どうにかして
お暇にならないよう
取りなしようが
ありそうなものですけれどねえ。

老女 ーらうじょ(ろうじょ)ー
大奥の総監督。
roujyo

賽の目
一:上り
三:御次

ついにない
このはるハ
おひめさまか
みな/\よく
つとめたに
よつて
御やく
がへの上
御ほうびを
くだされ
ますゆへ
ありがたく
御いただきなされませ

【意訳】
滅多にないことです。
この春はお姫様から、
皆が良く勤めたからと
お役替え(出世)の上
ご褒美を下さいますから
有り難く 頂きなさいませ。

御側 
ーおそばー
将軍や御台所のお世話をする上級の奥女中
osoba

賽の目
一:中老
六:部や屋

ヘイおひめさまハお手ならひを
あそばせそのやうにおあそびに
お身がいつてハなりません
これハしたりまた
そのやうな
きたない
おかほを
あそばして
おむずがりますな

【意訳】
さあ、お姫様はお手習いを
なさって下さい。
そんなふうに、
お遊びになってばかりでは
いけません。
まあ、なんてことを。
そのような悪いお顔をして、
ご機嫌を悪くなさらないで
下さいな。





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