文楽とか浄瑠璃とか

文楽のことなど徒然に

カテゴリ: 文楽本公演(国立文楽劇場)

8月2日は国立文楽劇場へ
夏休み文楽特別公演第2部に伺いました。

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仮名手本忠臣蔵の三分割通し公演の第二回目です。

五段目  山崎街道出合いの段/二つ玉の段
六段目  身売りの段/早野勘平腹切の段
七段目  祇園一力茶屋の段 

チケットは初日前にまさかの全席ソールドアウト。
本当に大勢の方がお運び下さっていて、とても嬉しかったです(*´ω`*)

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お席1列14番にて

個人的な感想ですが、あくまでもウチ的には
この公演は5段目から6段目が聴き応え、見応えがありました。

勘平とおかるを翻弄するのは理不尽か
それとも、先に仕出かした事の因果か

所詮は抗えん運命のやるせなさを感じながら
どっぷり文楽の世界にはまり込ませて頂きました。

身売りの段

咲様、燕三さん よかったです。

 「アイ」「ヤ」「アイ」「ヤ、ヤ、ヤ」「アイナア」

 「なんの因果で人並な娘を持ち、この悲しい目を見る事ぢや」と
 歯を食いしばり泣きければ、娘は駕籠にしがみつき、
 泣くを知らさじ聞かさじと、声をも立てず咽せ返る。

段切りは胸に迫るものがありました。

勘平切腹

呂勢さん、清治さん、とてもよかった。
清治さんってあんなふうに掛け声をかけはるんや。
普段あまりそういう事をなさらない方やと思うていたので
びっくりしておりました。

和生さん勘平、絶品でした。
黙って俯いている姿がとても美しく
切腹の最後、こと切れる瞬間は素晴らしかった。

一輔おかる、切なかったです。
惚れた男のために身を売る複雑な感情がようわかった。

亀次与市兵衛、簑二郎女房もヨカッタです。

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祇園一力茶屋の段

床も手摺も豪華な演出。
由良之助、おかる、平右衛門、九太夫。
聴き応え、見応えがありました。

一番の眼福は、何というても簑助おかる。

2階の障子を開けて柱にもたれかかり
風にあたるおかるの姿は、得も言われぬ風情、美しさで
ほうとため息をついたことでした。
一輔さんもよかったです。

玉翔力弥は春から引き続きイケメンキープでGJ。
咲寿君もしっかり語っていた。
力弥は好きなキャラクターなので
ぜひぜひ今以上にイケメン度高めて欲しいところです。

次はいよいよ秋ですね。
楽しみです。

よい文楽になりますように(^人^)


7月30日は国立文楽劇場へ
夏休み文楽特別公演第3部に伺いました。

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国言詢音頭(くにことばくどきおんど)は
元文2年(1737年)7月2日 曽根崎新地の茶屋で
薩摩藩士が遊女を含む5人を斬り殺したという
実際の事件を題材として書かれたサスペンス・スプラッターです。

原作は上中下の三巻、ですが、正本は刊行されず
現存するのは「下の巻 五人伐(ごにんぎり)」抜本のみ。

初演は天明8年、その後改作を経て、大川の段、大重(五人伐)のみの
2段上演が定着しました。
(※以上、2019/8/4 鬼鳥庵 久堀裕朗先生のお話から)

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大阪市立図書館デジタルアーカイブ
『竹本彌太夫遺文庫827 國言詢音頭 下の巻 五人伐の段』(床本)

物語自体は非常にシンプルなのですが、
演出のえげつなさ、気色悪さ、恐ろしさ、
そこに重なる悪の魅力を存分に味わえる作品です。

今年は久々に本水も使用。
なぶり殺し、はねた首の唇ねぶり回し
血まみれの解体ショーを見せつけられ
背筋を凍らせた挙げ句に本水でさらに冷やされるという、
猛暑の夜にピッタリの最高の仕上がりでした。

すでに日が経ってしまいましたが
感想を下記に少しだけ。
お席1列14番(井戸の前)にて
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国言詢音頭 
大川の段


浄瑠璃の中に心情描写はほとんど出てこない初右衛門の
心の内を微妙な人形の顔の傾きや目の動きで感じさせる。
人形遣いの醍醐味を、初右衛門登場からじっくり味わえます。
玉男さんの遣う人形はやっぱり色っぽい。

清十郎菊野、勘彌仁三郎 とても良い感じでした。
そして玉志伊平太の誠実。

町衆が都市を治めていた江戸期の大阪では
薩摩の名君、島津家に仕える侍であろうとも
どこか田舎者と馬鹿にされていた様子もよくわかります。

豆腐の御用のパロディなどもあり
ちゃらけた楽しさもある段ですが
段切りに全てが闇へと反転する。

  ハヽヽヽ初右衛門を灯蛾だと思ふか。

  ・・・・・・

  胸の空鞘打割りし、心の寝刃研ぎすまし、川辺伝ひに

睦さん、清志朗さん、ヨカッタです。

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五人伐の段(大重)

この段、本当に聴き応え、見応えがありました。
何というても玉男初右衛門のえげつなさ、色っぽさ。

皆の前で一旦は許すそぶりを見せ安心させた後で
恨みつらみ一切合切をその刀にまとわし全てを斬り殺す。

 蛍火に思ひ焦がれて身を焦がす、今日のうつゝは明日の夢

 ・・・

 桐の葉落とす秋の風。
 更ける夜すごく降る雨の、小止みもやらぬ瞋恚の邪念、
 また立戻る初右衛門

 ・・・

 我より先へ飛ぶ虫に灯火消えて真の闇
 
自分は夜の灯に近づき自らを焼いてしまう
蛾のような愚か者ではないとタンカを切った初右衛門が
灯りならぬ邪念の炎に自らを燃やし闇へと入り込んで行く。

真の闇に浮かび上がる邪念の炎。
降る雨に消える事もなく燃え上がる。
この対比のなんと美しい。

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菊野の首を腕で締め身体のいたるところを刀で突き切り
最後は腹にぐっと深く刺し込み、屍となったその首を切り落とし

 髻掴んで掻切る首、
 血に染む丹花の唇をねぶり回して念晴らし

おそらくは、どれほど金を遣っても
菊野は八右衛門に唇は許さんかったのやないでしょうか。

田舎侍は、それでも、遊女の嘘にのぼせ上げ
とうとう御用金にまで手を付けてしもうた。

そこまでして恋い焦がれたその唇から
まるで大川の水が溢れ出るかのように
自分を嫌う言葉が途切れる事なく流れ出た。

憂さ晴らしどころやない。
どれほどねぶり回しても全く足らん、
その唇を切り取って食べてしまいたいくらいには
思うていたのやないでしょうか。

このシーン、ほんまにヨカッタです。
床も手摺も、めちゃめちゃえげつなかった(褒め言葉です)

この後の連続殺人もそれはそれはえげつないんですが
やはり菊野惨殺がコアやね。
この勢いで後は全部殺しまくる。
仲居の解体ショーなど、凄まじかったです。

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ラストシーン、井戸で足を洗う場面は
ドキドキするほど美しかったです。

人形の足がこれほど色っぽいとは知らんかった。

なんでこんなに色気を感じたのか全くわかりませんが
ここだけでも繰り返し何回も見たいと思うほど。

やがて足を洗い刀にサラシを巻きつけた八右衛門は
下駄を履き、蛇の目をさして、どこか風流に、どこか美しく
大きく笑って去って行く。

  山寺の春の夕暮来て見れば
  ハヽヽヽヽヽヽ、アリヤ寒山寺諸行無常の鐘の声、南無阿弥陀仏

  弥陀仏の西の国へと急ぎ行く、
  不敵なりける次第なり。


****************

初右衛門というキャラクターがあまりにも魅力的やったので
感想の中心が彼になってしまいましたが、
清十郎菊野、おすみ紋臣の絡みなど、
とても良い雰囲気で楽しませていただきましたし
仁三郎とおすみの絡みもええ味を出していはりました。

織さん、藤蔵さん、
千歳さん、富助さん、清允さん
皆さん、ヨカッタです。

特に大重。

素晴らしかった。
有難うございました。



7月23日は国立文楽劇場へ
夏休み文楽特別公演第一部に伺いました。
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まず最初に、今年の親子劇場ですが、一言で申しますと
「めっちゃ( ・∀・)イイ!!」。

本気本物のガチ文楽です。
浄瑠璃が音曲ということもよく分かる。
ちびっ子が楽しめるような仕掛けも満載で
素晴らしいエンターテイメントになっていました。

以下、簡単に感想を。

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まずは小住ンの説明から。
渡し場に至る経緯、すなわち、若い男女の痴情のもつれを
ニコニコしながら、ちびっ子たちに話して聞かせる小住ン。
ステキでした(*´ω`*)

日高川入相花王 渡し場の段

三輪さんやっぱり美しい。
大好きなこの段を三輪さんで聞けて嬉しかったです。

  さては悋気嫉妬の執着し、邪心執念いや勝り、
  我は蛇體となりしよな。もはや添はれぬこの身の上、
  無間奈落へ沈まば沈め、恨みを云ふて云ひ破り、

  取り殺さいでおかうか

どんどんヤバくなっていく三輪さんの清姫に
文昇さんの遣いが重なり
ガブの瞬間はゾッとするほど怖かった((((;゚Д゚))))。

芳穂さん、美声が響いておりました。
勘市さん、船頭をとても丁寧に遣っていらした。
指先の細かい動きまで、しっかり見せて頂きました。

咲寿君、良かったです。
ソロパートはワンフレーズでしたが、声がよく伸びて
とても美しく感じられました。

亘さん、とても落ち着いていらした。

大蛇となった清姫が川を渡りきったシーンは美しかったです。

清姫が愛だけで安珍を追いかけていた渡し場は真っ暗で
川を渡りながら、愛と憎しみに揺れ動いた清姫の心が
やがて対岸にたどり着き、憎しみMAXになった瞬間
ぱっと舞台の幕が落ち、光の中、桜が咲き乱れる。

これを陰陽というのでしょうか。
相反するものをひとつところに置くことで、それぞれを引き立てる。

浄瑠璃の構成や文楽の舞台にはこういう演出が多くて
本当に素晴らしいですね。

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文楽ってなあに

人形遣い解説は「プロレラーが登場するように(by玉翔君)」
客席の後ろから、ちびっ子たちとハイタッチをしながら人形が舞台へと。
盛り上がりました。人形遣い体験、やっぱり面白い。
浴衣を着た、おやゆび姫みたいな可愛らしい女の子、
ようがんばって遣いはりました(*´ω`*)

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かみなり太鼓

織さんの「あつい、あついぞ、あついで、あつい」から
玉佳トロ吉が雲の上に帰るまで、とにかく面白くて笑いっぱなし。
浄瑠璃も人形も全てがよろしく、特にお三味線は、
清介さんワールドを心ゆくまで堪能させていただきました。
仕舞いのオチまで、あっと言う間の1時間弱でした(^0^)

笑いどころが山のようにあって、
ツボを言い出すとキリがないんですが、
その中でも、ウチ的に一番ツボったのは、やっぱりお母ちゃん。
あの肩衣はいつの間に支度したんや(^0^)

もっともっと細かく、如何にこの文楽が面白いかを
全力で紹介したいのですが

「うそか ホンマか わからぬはなし
 よそで いうたら あきまへん」

ご興味のある方はぜひぜひ、文楽劇場にお運びいただき
この素晴らしいエンターテイメントをお楽しみ下さいませ。
大きいお友達1人でもノープロブレムです。

チャーミングな緞帳チェックもお忘れなく(*´ω`*)

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楽しい親子劇場のおかげで、
今年の夏文楽はとても良い始まりになりました。

来週はいよいよ、国言詢音頭そして仮名手本忠臣蔵へ。
良い文楽になりますように(^人^)





4月23日は文楽劇場へ
平成31年度4月文楽公演 第2部へ伺いました。

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お席1列16番にて

近頃河原の達引
亀山家の勘定役横淵勘左衛門が出入りの商家・井筒屋の若ボン伝兵衛と馴染みの遊女おしゅんに横恋慕。そして伝兵衛を騙し贋金遣いの罪を着せ三百両を騙し取り、将軍家所望の茶入を盗んだ事を知られたため伝兵衛殺害を企てますが、反対に伝兵衛に殺されてしまいます。この一件でおしゅんは京の堀川で猿回しを生業とする実家に帰され、兄と盲目の母は、伝兵衛と心中するのではと心配します。そこへ伝兵衛が訪れ、2人の覚悟を知った兄は猿回しで伝兵衛&おしゅんの旅立ちを祝い見送るのでした。(by プログラム)

四条河原の段

勘左衛門と伝兵衛のやり取り、からの殺しが見せ場です。
碩君の歌う上方唄が、その残酷なシーンをどこか夢のような
不思議な美しさを感じさせる。

文楽にはこういう「殺しの美学」的な場面が多いのですが
これもそうでしょう。聴き応え、見応えがありました。

碩君はお唄も上手い。この方の成長が本当に楽しみです。

靖さん、錦糸さん、とても良かったです。
錦糸さんのお三味線はひと撥ごとが美しい。

玉勢さんの勘左衛門は随分人形が大きくて驚きました。
左はどなたがお遣いでしたか。
この方が人形を押し上げて大きく見せていた。気がする。
美しかったです。

勘彌さんの伝兵衛は安定の色男でした(*´ω`*)

堀川猿回しの段

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全て良かったです。
文楽らしい文楽をじっくり味わった、そんな感じ。
そこにいる誰もが互いを思いやる、情の塊のような。

浄瑠璃は音楽なんやということもしっかりとわかります。
清介さんのお三味線がたっぷり聴けて嬉しかった。

猿回しは賑やかになればなるほど、
お猿が可愛く動けば動くほど
悲しみがどんどん深まって行く。
思い出してまた泣きそうになってしまいます。

この浄瑠璃はCDを持っていて、時どき聞いているんですが
やっぱりライブがいい、文楽は劇場で楽しまなあかん
改めてそう思わせてくれた、素晴らしい一段でした。

有難うございました。




4月23日は文楽劇場へ
平成31年度4月文楽公演 第2部へ伺いました。
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お席1列16番にて

祇園祭礼信仰記
小田信長が足利義輝を滅ぼし、金閣寺に立て籠もる松永大膳を討伐するまでの物語。ストーリーは此下東吉(豊臣秀吉)の活躍、出世が中心に展開していきます(by プログラム)

金閣寺の段

通称「碁立て」。
碁を打つ大膳、東吉、雪姫の心情、会話の中に碁石や用語が巧みに読み込まれています。

 ・先手の石
  「碁立大膳は、先手の石打つや現のうつの山」

 ・一間飛び
  自分の石から1路または2路離れた位置に打つ手
  「一間を忍ぶ雪姫が」
  「一間飛びに入り込んだも、松永を討って取る」
  ikkentobi
 ・白石
  白い碁石

  「雪姫が顔の白石、返事とはマア嬉しい、
  抱かれて宿石(ねばま)の返事ぢゃな」

 ・中手
  相手の眼の急所に打つ手
  「この東吉が中手を入れて」
  nakade
大膳が一間となりの雪姫に気を取られてるうちに
東吉に中手を打たれて負けてしまう、そんな感じでしょうか。
囲碁をご存知な方ならこの段は随分面白いのやないかしら。

ストーリーそのものは
囲碁を通して3人の心理を静かに描き
⇒負けた大膳碁盤を投げる
⇒東吉さらっと流し
⇒井戸の碁笥を取り出す

という感じで、シンプルなんですが
人の心の静動が複雑に入り混じった面白い浄瑠璃です。
その分難しい。
織さん、藤蔵さん、エネルギッシュでよろしゅうございました。

玉志松永大膳、ゲスくて乱暴でエロくて最高でした。
悪役が魅力的に遣えるって、ほんまに素敵です(*´ω`*)

清十郎雪姫、気品がありますね。

急遽代役となった簑紫郎十河軍平(加藤清正)、
代役とは思えん、落ち着いた美しい遣いに
普段からご精進なさってるんやなあとしみじみ思わされた事でした。

玉助東吉もイケメンで良かったです。

爪先鼠の段

滝に龍が映るわ、
絵の鼠が縄を食いちぎって花びらになるわ
舞台装置は上へ行ったり、下に行ったり、
スーパーフィクション&大仕掛け&大スペクタクルな一段です。

金閣寺の心理戦から一転、体育会系になるわけで
この対比が本当に面白い。

そして文楽のご都合主義的様式美、
「十河軍平、実は加藤清正」もあり、これもまた面白い。

前は千歳さん、富助さん 
後は芳穂さん、清志郎さん

迫力いっぱいでよかったです。

こういう仕掛けの大きい段は、人形遣いさん大変やと思うのですが
皆さんバッチリでした。鼠ちゃん、可愛かった(*´ω`*)

※近頃河原の達引は別エントリーにアップします。




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