昨日8月22日は国立文楽劇場へ
第23回 文楽素浄瑠璃の会に伺いました。
文楽劇場、半年ぶりの公演再開です。
プログラムは3本とも「立場が引き裂く縁」を
描いていたと思います。
ただ、いずれも、明るい未来があるお話です。
「駒木山城」は加藤清正の誕生、そしてこれからの活躍が。
「宿屋」は朝顔に起きる奇跡が。
「重の井子別れ」は三吉に幸せな未来が(あると思うてる)。
※「恋女房染分手綱」の筋を知らんので
「丹波与作待夜の小室節」を自分勝手に重ねて未来予測。
だから安心して聞けば良いものを
語られる場面は悲しく切なく
先を忘れてその世界に入り込み
終演後は心地よく泣き疲れておりました。
以下、簡単に個人的備忘録を。
◆日吉丸稚桜「駒木山城の段」
ひよしまるわかきのさくら「こまきやまじょうちゅうのだん」
奥、お政の出から段切まで
錣さん、寛太郎くんの初タッグ。
錣さん、強かった。
五郎助の娘を思う親心と斎藤家に対する義理が交差し
ついには父娘ともに悲しい最後を遂げる。
メガネを外して聞きながら、
ぼやけた輪郭だけの舞台に
五郎丸の姿を見ておりました。
寛太郎くん、出だし、すこし小さく感じました。
最初の掛け声が、私には突拍子もなく聞こえた。
ですが、その後は、お三味線が立って
次の掛け声からは段切までとてもヨカッタです。
◆生写朝顔話「宿屋の段」
しょううつしあさがおばなし「やどやのだん」
咲様 お元気そうで安心しました。
咲様と燕三さんのお浄瑠璃はいつもながら美しく
安心して最後まで聞かせていただける。
燕二郎くんの琴
儚く哀れで、とてもよろしゅうございました。
何度か聞いてるはずやのに、
こんな調べやったかしらと
ほうとしたことでした。
段切は、お願い待って、咲様、床本 畳まんといて
そのまま大井川まで語り抜けてと、
心の中で悶ておりました。
◆恋女房染分手綱「重の井子別れの段」
こいにょうぼうそめわけたづな「しげのいこわかれのだん」
一番楽しみにしていた演目です。
文楽・浄瑠璃ビギナーなわたくし。
この有名な段を聞くのは今回が初めてでした。
近松の原作にあるこの箇所は繰り返し読んでいて
楽しい双六からの悲しい別れに、何度読んでもウルウルし
ここはどんな節がついてるんかしら
三吉はどんな声なんかしら
馬子唄はどんな歌なんかしらと
貧弱な想像力を駆使して妄想し
はよう聞きたい、見たいと、ずっと思うておりました。
で、今回その予習妄想の答え合わせとなったわけですが
千歳さんと清介さんの聞かせてくれた答えが
聞いてる最中も、劇場を出た後も
家に帰って飲み始めても
まるで高波のように押し寄せて
昨日はずっと、溺れかけておりました。
出典:立命館大学アート・リサーチセンター浮世絵データベース
三吉というのは「じゃりン子チエ」に出てくる
コケザル君に輪をかけたようなスレた子で
煙草ものめば、双六(博打)も打つ。
運命に翻弄されながらも、たくましく、
泥まみれで生きる自然薯です。
そんな自然薯、唯一の純真が両親と共に暮らすこと。
その夢のためなら、自分は身を粉にして働いて
2人を養うとまで言う。
けれど、実母である重の井によって、
その純真は泥の中へと埋められてしまいます。
重の井の「奉公の身の浅ましさ」。
生きるためにスレたばかりに、
大人の事情もわかる三吉の哀しさ。
同じ乳で育った姫の
綺羅びやかな輿入れの伴として
泥に塗れ馬子唄うたう自然薯。
その姿を見守ることしかできひん重の井。
坂は照る/\、鈴鹿は曇る。
土山間の間の、土山、雨が、降る
降る雨よりも親子の涙なかに、しぐるゝ、雨やどり
素晴らしいお浄瑠璃にございました。
ありがとうございました。
◆公演動画有料配信
この公演は動画の有料配信があります。
詳細は国立文楽劇場のウェブサイトからご確認下さい。
◆感動を身近に!「文楽素浄瑠璃の会」を配信にてお楽しみいただけます。
◆公演プログラム
公演プログラムは文楽せんべいさんのオンラインショップから
オーダーいただけます。
◆第23回文楽素浄瑠璃の会 公演プログラム
こちらのプログラム、大阪市大、久堀裕朗先生の
演目解説・あらすじが充実しています。
聞き所は少々マニアックに、お三味線の手まで解説されてる。
読み応えある一冊です。
有料配信のお供に、予習復習の参考書に、浄瑠璃を知る入門書に、
ご興味のある方、ぜひお手元にお取り寄せ下さいませ(*´ω`*)
◆今後の公演が無事に開催されますように
次週は若手会、9月は東京での文楽公演
そして10~11月には大阪で綿秋文楽公演が予定されています。
どうか何事もなく、全てが無事に開催されますように。
技芸員の皆様、ご関係者の方々のご健勝をお祈りしております。
必ずお元気でいて下さいますように。
一日も早く、文楽や浄瑠璃が楽しめる
いつもどおりの毎日が戻って来ますように。
第23回 文楽素浄瑠璃の会に伺いました。
文楽劇場、半年ぶりの公演再開です。
プログラムは3本とも「立場が引き裂く縁」を
描いていたと思います。
ただ、いずれも、明るい未来があるお話です。
「駒木山城」は加藤清正の誕生、そしてこれからの活躍が。
「宿屋」は朝顔に起きる奇跡が。
「重の井子別れ」は三吉に幸せな未来が(あると思うてる)。
※「恋女房染分手綱」の筋を知らんので
「丹波与作待夜の小室節」を自分勝手に重ねて未来予測。
だから安心して聞けば良いものを
語られる場面は悲しく切なく
先を忘れてその世界に入り込み
終演後は心地よく泣き疲れておりました。
以下、簡単に個人的備忘録を。
◆日吉丸稚桜「駒木山城の段」
ひよしまるわかきのさくら「こまきやまじょうちゅうのだん」
奥、お政の出から段切まで
錣さん、寛太郎くんの初タッグ。
錣さん、強かった。
五郎助の娘を思う親心と斎藤家に対する義理が交差し
ついには父娘ともに悲しい最後を遂げる。
メガネを外して聞きながら、
ぼやけた輪郭だけの舞台に
五郎丸の姿を見ておりました。
寛太郎くん、出だし、すこし小さく感じました。
最初の掛け声が、私には突拍子もなく聞こえた。
ですが、その後は、お三味線が立って
次の掛け声からは段切までとてもヨカッタです。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション
絵入倭文範百段集. 下 書誌ID:000000491558
◆生写朝顔話「宿屋の段」
しょううつしあさがおばなし「やどやのだん」
咲様 お元気そうで安心しました。
咲様と燕三さんのお浄瑠璃はいつもながら美しく
安心して最後まで聞かせていただける。
燕二郎くんの琴
儚く哀れで、とてもよろしゅうございました。
何度か聞いてるはずやのに、
こんな調べやったかしらと
ほうとしたことでした。
段切は、お願い待って、咲様、床本 畳まんといて
そのまま大井川まで語り抜けてと、
心の中で悶ておりました。
出典:立命館大学アート・リサーチセンター浮世絵データベース
AcNO: arcUP0478
◆恋女房染分手綱「重の井子別れの段」
こいにょうぼうそめわけたづな「しげのいこわかれのだん」
一番楽しみにしていた演目です。
文楽・浄瑠璃ビギナーなわたくし。
この有名な段を聞くのは今回が初めてでした。
近松の原作にあるこの箇所は繰り返し読んでいて
楽しい双六からの悲しい別れに、何度読んでもウルウルし
ここはどんな節がついてるんかしら
三吉はどんな声なんかしら
馬子唄はどんな歌なんかしらと
貧弱な想像力を駆使して妄想し
はよう聞きたい、見たいと、ずっと思うておりました。
で、今回その予習妄想の答え合わせとなったわけですが
千歳さんと清介さんの聞かせてくれた答えが
聞いてる最中も、劇場を出た後も
家に帰って飲み始めても
まるで高波のように押し寄せて
昨日はずっと、溺れかけておりました。
出典:立命館大学アート・リサーチセンター浮世絵データベース
AcNO: BN0382942X-1-14
三吉というのは「じゃりン子チエ」に出てくる
コケザル君に輪をかけたようなスレた子で
煙草ものめば、双六(博打)も打つ。
運命に翻弄されながらも、たくましく、
泥まみれで生きる自然薯です。
そんな自然薯、唯一の純真が両親と共に暮らすこと。
その夢のためなら、自分は身を粉にして働いて
2人を養うとまで言う。
けれど、実母である重の井によって、
その純真は泥の中へと埋められてしまいます。
重の井の「奉公の身の浅ましさ」。
生きるためにスレたばかりに、
大人の事情もわかる三吉の哀しさ。
同じ乳で育った姫の
綺羅びやかな輿入れの伴として
泥に塗れ馬子唄うたう自然薯。
その姿を見守ることしかできひん重の井。
坂は照る/\、鈴鹿は曇る。
土山間の間の、土山、雨が、降る
降る雨よりも親子の涙なかに、しぐるゝ、雨やどり
素晴らしいお浄瑠璃にございました。
ありがとうございました。
◆公演動画有料配信
この公演は動画の有料配信があります。
詳細は国立文楽劇場のウェブサイトからご確認下さい。
◆感動を身近に!「文楽素浄瑠璃の会」を配信にてお楽しみいただけます。
◆公演プログラム
公演プログラムは文楽せんべいさんのオンラインショップから
オーダーいただけます。
◆第23回文楽素浄瑠璃の会 公演プログラム
こちらのプログラム、大阪市大、久堀裕朗先生の
演目解説・あらすじが充実しています。
聞き所は少々マニアックに、お三味線の手まで解説されてる。
読み応えある一冊です。
有料配信のお供に、予習復習の参考書に、浄瑠璃を知る入門書に、
ご興味のある方、ぜひお手元にお取り寄せ下さいませ(*´ω`*)
◆今後の公演が無事に開催されますように
次週は若手会、9月は東京での文楽公演
そして10~11月には大阪で綿秋文楽公演が予定されています。
どうか何事もなく、全てが無事に開催されますように。
技芸員の皆様、ご関係者の方々のご健勝をお祈りしております。
必ずお元気でいて下さいますように。
一日も早く、文楽や浄瑠璃が楽しめる
いつもどおりの毎日が戻って来ますように。