2月17日は生まれて初めて淡路島へ、これまた人生初見となる
淡路の人形浄瑠璃『淡路の演目・演出披露公演「妹背山女庭訓」』を
観に行って来ました。

門戸厄神さんで「えびすかき」を観て以来、
いっぺん淡路の「戎舞」を観たいと思うていたんですが、
年明けの西宮公演はチケットが取れず、
ご縁が頂戴できひんのかなとしょんぼりしていたところへ、
本公演の案内を頂き、これは行くしかないやろ!と、伺った次第です。

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淡路の人形浄瑠璃と大阪の人形浄瑠璃・文楽はどう違うのかと、
以前は考えたこともありましたが
最近は、同じ種「傀儡子」から誕生し、
それぞれ異なる進化を遂げるとともにに、
互いに影響しあって今に至る「似て異なる芸能」と
自分の中で(思い込みですが)答えが出ているので、
今回は余計な事も考えず、人形浄瑠璃を楽しませて頂きました。

衣装山
新聞記事:衣裳山よみがえる 淡路人形座 : 地域 ( 読売新聞オンライン)

黒は黒、赤は赤と衣装の色味を揃え、竿に通し
その竿を変わりベッタンで上下させる「衣装山」。
見応えがありました。あの衣装は刺繍でしょうか。
龍を背負った赤い緞子はいっぺん着てみたい(*´ω`*)


昔むかし、淡路の人形芝居が全国を巡業していた頃
庶民の身につけるものは地味なモンやったと思います。
村や町にも、さほど彩りはなかったでしょう。

地味な村の中に立つ、地味な色(観客)で埋め尽くされた芝居小屋に
綺羅びやかな衣装の山がかかる。
その華やかさに、どれほど人々は見惚れ、彩りを楽しんだことか。

淡路の衣装が豪華であり続けた、られた理由には色々ありましょうが
何よりもまず、行く先々で人々に喜んでもらうためやったんやろなと
思わされたことでした。

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新聞記事:衣裳山よみがえる 淡路人形座 : 地域 ( 読売新聞オンライン)

妹背山女庭訓四段目

道行恋苧環

友里希さん、とても良かったです。
掛け合いを離れて彼女の声が通った瞬間「おお!」と思いました。
お若い方ですが、なんというか、聞きたくなる発声をしていはる。

晩年の鶴澤友路師匠にもお稽古してもろてはったようで
それが彼女を支える骨となり、人生で経験する様々が
筋肉となって骨に付き、丈夫な体躯となりましょう。

これからも益々ご精進あそばして、
ぜひ良い太夫さんになって下さいね(*´ω`*)



入鹿御殿の段

友庄さん、ヨカッタです。

豆腐の御用は可愛く
女官はイケズで
鱶七は雄々しく激しく
そして、難しいお三輪の心の変化まで
お見事でございました。

新九郎さんの早変わり、凄かったです(@@)

淡路独自の演出やと、事前情報があったにも関わらず
実際に目の当たりにしたその芸は、想像以上にダイナミックで
女形から立役という变化もこれまた見事で、
すっかり驚かされてしまいました。

淡路の人形はかしらが大きく
鱶七など「どっしーん!」とした迫力があるのですが
お三輪から早変わりすることで、よりいっそう大きく見える。
花四天との殺陣も豪快で。
ゴージャスな良い人形浄瑠璃にございました。

淡路人形協会 上居副理事長のご挨拶と久堀先生の解説を伺って

江戸期、淡路では、島内のごく狭い特定集落に
人形芝居を生業とする人々が暮らしており、
全国を巡業をしながら芸を発展させてきたとか。

藩の庇護もあり、最盛期には40もの座数があったらしく、
島の一大産業やったと思います。

残念ながら、明治以降は衰退し、
現存するのは淡路人形座のみとなっていますが、
今では島を上げて保存・発展に取り組んでいるご様子でした。

今回の演目「妹背山女庭訓/道行恋苧環・入鹿御殿の段」は

イケメン侍が自分の目的のために村娘とエエ氏の姫を手玉に取る
村娘と姫がイケメンを取り合いキャットファイト
イケメンは自分の目的達成のため条件付きで姫と祝言
騙された村娘は姫の御殿で女官にいじめ抜かれ
鬼の形相になったところで「その顔の血が必要」と
別の大侍に刺し殺され血を抜かれる

という、浄瑠璃にはよくあるパターンの、
三角関係の縺れからライトなエロトークを挟み
イジメて恨んで血飛沫ブシャーな時代物の悲劇でしたが、
小学校低学年くらいの子供たちも来ていて、
さすが淡路!と、その地元力に驚かされました。

来年度からは小学1年生から中学3年生まで、
人形浄瑠璃を通じての、コミュニケーション能力を高める
取り組みが始まるということで、
淡路のDNAが、時間の経過とともに、どう蘇るのか
楽しみでなりません。

橋と高速道路のおかげで、淡路の南端、人形座の拠点・福良も、
三宮からバスでわずか1時間半の距離となりました。
思っていたよりも近かったので、また機会があれば、
日帰り旅行がてら楽しみに行きたいと思います。

この度のご縁に感謝して、
引き続き、ご縁を頂戴できますように(^人^)

ありがとうございました